目利き
横浜駅西口ダイヤモンド地下街にある有隣堂は、物心ついてから40年、書棚の配置がほとんど変えられていない印象があります。
床屋の角を曲がった奥の参考書・文具コーナーはいくぶん変わっているけれど、35年前に初めて自分用の万年筆を買ったカウンターのレイアウトは同じ。
平積みは他店と大差なくも、「いまのあなたならこれでしょ?」と個人的に見立られているような文庫の面陳や手書きの書評に、おそらくちょっと年上の目利きの存在が感じられるのです。
購入履歴からお勧めが配信されるネットショップだとほぼすべて想定内ですが、ここは覗くたび、おや?と思うことが多いわけです。
先日もふと文庫コーナーに立寄ると、宮本常一の「忘れられた日本人」が面陳されていました。
僕の学生時代は、日本の家族や民俗を柳田國男と今和次郎を教科書にして、世界の民族はレヴィ・ストロースを通じて、構造主義というものを知りました。
↑こうかくと意外と堅い学問してきたように見えるが。。。
でもって、そういう世代に宮本先生というと、膨大な著作集のある高名な民俗学者という印象と同時に、ちょっと毛色のちがう、というか、かなり色気のある聞き取り調査の得意な先生だったりします。
書評には民間伝承を生き生きと描くとあるけれど、つまりは僻地の老人のかなり生々しい話。
たしかに面白いのだけれど、それを面陳されると、ほんとに気分を読まれている気がして、
時代遅れに朽ち果てながらも、僕にとってはいまだ、
おそるべしダイヤモンド地下街
なのです。
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